Pioneer DJMシリーズに搭載されているようなワンノブタイプのフィルターを、
Ableton Live + Max for Liveデバイスを利用して設定する方法を解説します。
Type A と Type B の2通りの設定方法を解説します。
使用するデバイス
・Audio Effect Rack
・Auto Filter
・XY Pad
(CATEGORIES > Max for Live > Max Audio Effect > XYPad)
テキストの最後にOneKnobFilterラックプリセットデータ(adg)のDLリンクを用意しています。
図解の補足に活用ください。
One Knob Filter TypeA
A-1~10の手順でType Aの設定方法を解説していきます。
A-1
『AudioEffectRackにXYPadとAutoFilterを挿入する』
AudioEffectRackを準備し、そこにXYPadとAutoFilterを2セット挿入します。
ここでは左の”XYPadとAutoFilter”をLPF用、右の”XYPadとAutoFilter”をHPF用とします。
XYPadを用いてノブの動きとパラメータの実際の変化を均等ではなく可変的にします、この部分が肝。以下のように設定してみてください。
A-2
『LPF用セクションを設定する』
左側のXYPad上でX軸の設定画面を選択し、カーブを画像のように設定します。
A-3
『AutoFilter(LPF)をXYPadにアサインする』
XYPadのMapをクリックし、AutoFilterのFreqをアサインします。
A-4
『XYPad(X軸)へアサインする』
アサインしたマクロコントロールノブを動かすとノブの半分あたりでLPFが開き切るようになります。レゾナンスの値をある程度高めに設定しておくと効果的です。ノブとフィルターの関係はXYPadのカーブを微調整することで追い込むことができます。(XYPadのカーブ調整に満足できない場合は後述の方法を参考ください)
A-5
『HPF用セクションを設定する』
続いて同様の手順で右側のHPF用セクションを設定します。
右側のXYPad上でX軸の設定画面を選択し、カーブを画像のように設定します。
A-6
『AutoFilter(HPF)をXYPadにアサインする』
フィルタータイプをハイパスに変更し、XYPadのMapをクリックしてAutoFilterのFreqをアサインします。
A-7
『XYPad(Y軸)へアサインする』
XYPad上でY軸の設定画面を選択し、カーブを画像のように設定します。
LPFではレゾナンス値は固定としましたが、HPFの場合、低音域の不要な音色変化を避ける為、フィルターを戻しきった際にレゾナンス値が0になるような可変設定をします。
A-8
『Resonanceを設定する』
レゾナンスのかかり具合の設定になります、ここではMin0% Max80% 程度に設定しています。
Maxは好みに合わせ調整してください。
A-9
『Resonanceをアサインする』
MapをクリックしてAutoFilterのResをアサインします。
A-10
『XYPadをマクロコントロールにアサインする』
AudioEffectRackのマクロコントロールにXとYをアサインします。
全て同じノブにアサインします。
これによりマクロコントロールからの操作が可能になります。
以上でワンノブフィルター(TypeA)の完成です。
さらに設定を追い込みたい場合は以下を参考ください。
・LPFを開き切った際の高音域の音色変化が気になる場合
A-7~10を参考にLPFにもレゾナンス値の可変設定をしてみてください。
LPFの場合、フィルターが開き切った際にレゾナンス値が0になるようにカーブを調整します。
・XYPadのカーブ調整に満足できない場合
XY Padの代わりにTom Cosm -MultiParameter Curves2.0を利用します。Multi Parameter Curvesはカーブの形をより自由に設定できるため、ノブ位置での数値の変化をより細かく設定できます。レゾナンス値のコントロールも細かく設定できるため、より効果的なフィルターコントロールが行えます。
maxforlive.comよりDL可能
http://c74.maxforlive.com/library/device/4172/multi-parameter-curves
One Knob Filter TypeB
B-1~10の手順でType B設定方法を解説していきます。
ver9.5以降で新たに搭載された純正フィルター(Clean以外)をはじめ、設定によっては通すだけで音色変化や音量変化が起こるサードパーティー製フィルタープラグインも少なくないと思います。そこでType Bでは、AudioEffectRackのチェーン機能を利用して、ノブの中央部でフィルターがスルーされる設定のワンノブフィルターの組み方を解説します。
B-1
『AudioEffectRackにチェーンを作成する』
AudioEffectRackを準備し、チェーンを3つ作成します。
上から
- LPF
- dry
- HPF
とします。
B-2
『チェーンのゾーンを設定する』
各チェーンのゾーンを以下のように設定します。
- LPF 0-61
- dry 62-66
- HPF 67-127
(後ほどフェード設定含めた微調整を行います)
B-3
『LPFのチェーンにXYPadとAutoFilterを挿入する』
LPFのチェーンにLPF用の”XYPadとAutoFilter”を1セット挿入します。
B-4
A-2~4 で行ったものと同様の設定を行います。
B-5
『HPFのチェーンにXYPadとAutoFilterを挿入する』
HPFのチェーンにHPF用の”XYPadとAutoFilter”を1セット挿入します。
B-6
A5~10で行ったものと同様の設定を行います。
B-7
『ルーラチェインノブをアサインする』
AudioEffectRackのマクロコントロールにルーラチェインノブをアサインします。
Type Bでのマクロコントロールへのアサインは以下のようになります。
B-8
『フィルター動作時とスルー時の音量調整を行う』
チェーンが切り替る際にノイズが目立つ場合はフェードを設定して調整します。
以上でワンノブフィルター(TypeB)の完成です。
使いこなしのための提案
・デバイスオンオフボタンをアサインする
ワンノブ以外にもう1つボタンコントロールが確保できるなら、そこにAudioEffectRackのデバイスオンオフボタン(ワンノブフィルターの有効無効)をアサインするのはどうでしょうか。PioneerDJMの操作感にもより近づき、より幅広いプレイが可能になります。
・MultiMapperで一括操作
各トラックにアサインしたワンノブフィルターをMultiMapper16などにまとめてアサインするのはどうでしょうか。APCやPushなどAbletonLive用コントローラで、1つのトラックを選択したまま一括してフィルター操作等が可能になります。
maxforlive.comよりDL可能
http://www.maxforlive.com/library/device/1813/multimapper16
・フィルターと同時に他のエフェクトがかかるように設定する。
下記リンクよりDLいただけるOneKnobFilterラックプリセットデータ(adg)の中に、一例としてフィルターと同時にディレイ(HPF時)と歪み(LPF時)がかかる設定を用意してみました。応用の参考にしていただければ幸いです。
https://www.dropbox.com/s/0jtco58tglgylzq/OneKnobFilter_v180102.zip?dl=0